バッタ

秋になると、草むらでたくさん飛んでいるバッタ。子供の頃に捕まえた経験のある人も多いのではないでしょうか。いわゆる「バッタ」は、分類としてはバッタ目(直翅目)・バッタ亜目 (Caelifera) の昆虫です。イナゴ(蝗)も含まれますが、バッタとイナゴを完全に別の昆虫としている地域もあります。

バッタが多くいる場所

バッタは熱帯・温帯の草原や砂漠地帯に広く分布しています。バッタは、キリギリスやコオロギよりも、乾燥していて草丈が短く、地面がかなりむき出しになっているような環境に多く生息しています。

バッタの生活の場

バッタの主な生活の場は大きく分けて2つ、地上性と植上性とがあります。植上性のバッタは、爪の間に吸盤状の器官が発達し、これで植物などにしがみつきます。また、バッタはガラスのような滑る面でも自由に歩き回ることが出来ます。地上性の種類のバッタでは爪の間に何もないか、あっても痕跡的な器官があるだけです。前者にはトノサマバッタ、カワラバッタ、ヒナバッタ、マダラバッタなどが属し、後者にはショウリョウバッタ、コバネイナゴ、オンブバッタ、フキバッタなどが入ります。

バッタの色

バッタの体色は緑色と褐色の組み合わせで、その割合は種類や個体によって違います。これは生息場所の環境に合わせたバッタの保護色ですが、バッタの個体群密度が高いと黒っぽい体色になることもあります。

バッタのジャンプ

バッタといえばジャンプでしょう♪バッタは昆虫の中でも特に後脚が大きく発達していて、後脚で体長の数十倍もの距離をジャンプできます。また、バッタの幼虫は翅がないが、成虫になると多くの種類で翅が伸び、空中を飛ぶことも出来ます。バッタの翅の構造は細くて不透明な前翅と、大きく広がる半透明の後翅からなります。ただし、フキバッタ類など成虫になっても翅が小さいままの種類や、ヒシバッタやオンブバッタなど、飛ばない種類のバッタもいます。

バッタの口

バッタの口は大あごが発達し、植物の葉を齧り取って食べます。多くの種類はイネ科やカヤツリグサ科の植物を食べますが、フキやクズなど葉の広い双子葉類を好む種類もいます。また、カワラバッタなどは植物の他に他の昆虫の死骸なども食べる雑食性です。

バッタの鳴き声

バッタには、ヒナバッタやナキイナゴなどオスが鳴く種類もいますが、これらは翅や後脚を擦り合わせて音を出していて、前翅に発音器官をもつキリギリスやコオロギとは発音の仕組みが異なります。また、ショウリョウバッタやトノサマバッタ、クルマバッタなどは飛翔中に発音しますが、これは前後の羽を打ち合わせながら飛翔することで発音しています。

バッタの産卵

交尾を終えたバッタのメスは、地中に腹部を差しこんで産卵します。サバクバッタなどは普段の2倍くらいに腹部を伸ばして産卵します。バッタの卵はカマキリと同じように泡でできた卵のうに包まれ、1ヶ所に固めて産みつけられます。時間がたつと土中で卵のうが固まり、季節の変化や乾燥から卵を守ります。

バッタの幼虫

孵化した幼虫は薄い皮をかぶっていて(前幼虫)、地表へ出てきた直後に最初の脱皮を行います。その後は、脱出口と抜け殻を残し、思い思いの方向へと散っていきます。幼虫はまだ翅がないので、後脚で大きくジャンプすることで敵から逃げる。植物を食べ、脱皮を繰り返して大きくなるにつれ、背中にうろこ状の翅が目立つようになります。

成虫になったバッタの行動

バッタは最後の脱皮をおこなって成虫になると翅が伸び、メスの腹部の先端には硬い産卵管ができます。オスはメスを探して、メスの背中に飛び乗って交尾を行います。オスがメスの背面に乗るというこの行動は一種のガード行動で、他のオスを排除する意味もあります。

バッタと似ている昆虫

キリギリスやコオロギはバッタと同じバッタ目で、体型もよく似ていますが、違いも多く、

  • バッタは体が前後に細長く、触角は短い。
  • キリギリスやコオロギの耳が前脚にあるのに対し、バッタの耳は前脚ではなく、胸部と腹部の間に1対ある。
  • バッタのメスの尾部には産卵管があるが、長くはならず、あまり目立たない。
  • バッタはほとんどの種類で、メスの方がオスよりも明らかに体が大きい。

などの特徴があります。

バッタの飼い方

バッタを飼うには、まずは下記のものを用意しましょう。

(1)飼育容器  
網の蓋のついたプラスチックケース
(2)土
フライパンでよく火を通して土をさまして使います。
(3)バッタの餌を入れるビン
水を入れて、バッタが食べる草を入れます。
(4)霧ふき
バッタのお家である草や土に水をかけます。

バッタの餌

(1)イネ科の植物

  • エノコログサ
  • オヒシバ
  • ススキ
  • ササ

(2)果物

リンゴを土につかないように、つまようじなどに指します。

バッタの飼育ケースの置き場所

バッタの入った飼育ケースは、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。1時間くらい日向ぼっこさせるのも良いでしょう。人間や猫と一緒で、バッタは日光浴が好きなのです。

バッタの飼育のポイント

バッタに毎日餌をあげましょう。残った餌は毎日取り変えましょう。

バッタの増やし方

(1)バッタに交尾をさせます。
飼育ケースにオスとメスを入れておけば交尾をします。オスはメスよりも体が小さいです。特に、ショウリョウバッタは大きさにはっきりと違いがあります。小さいので子供のように見え、また、メスの背中に張りつくようにしているのがオスです。
(2)バッタが卵を産みます。
バッタは交尾から1週間くらいで、メスは土に卵を産みます。一度だけではなく、何度かに分けて卵を産みます。
(3)冬越しの準備
バッタの成虫が死んだら、死がいと草、ビン、餌、ふんを取り出して、冬越しさせます。
(4)卵のふ化
5月頃になると、バッタの卵がふ化して、幼虫が出てきます。バッタの幼虫の色は茶色です。
(5)幼虫の世話
バッタの幼虫は成虫の世話と同じで大丈夫なのですが、脱皮のための枝を入れてあげましょう。幼虫はとても多くの餌を食べます。

バッタの冬越し

秋も深くなると、バッタの成虫が死にます。バッタは卵で冬越しをします。

(1)飼育ケースの置き場所
土以外のものを取り出した飼育ケースを、ベランダなどに置きます。直接日光に当たらないようにします。また、寒い地域では凍らせないように気をつけましょう。
(2)世話
乾燥させないように、霧ふきで水をあげましょう。
※トノサマバッタによくにたツチイナゴは、成虫のままで冬を越します。

イナゴ科

ツチイナゴ

イナゴ類は見た目がよく似たものが多く、見分けるためには交尾器などの観察が必要です。日本には少なくとも8種以上のイナゴ(Oxya属)が生息すると言われますが、完全には解明されていません。

コバネイナゴ
北海道から九州に分布し、体長は3 - 4cmほど。名の通り翅が短くて、腹部より先に突き出ないとされますが、翅の長く腹部より突き出るものもあります。近縁種のハネナガイナゴは東北地方から奄美まで分布し、名の通り常に翅が長く後ろに突き出します。2種類とも水田に多く生息し、イネの葉を食べるので害虫として扱われます。地方によっては佃煮などで食用になります。
ツチイナゴ
他のバッタとは違う特徴が多いといえます。体長は4 - 5cmほどで、成虫の体型はトノサマバッタに似ていますが、体色は褐色で、背中の真ん中に白っぽい線があり、複眼の下に黒っぽい線があります。また、全身に細かい毛が生えています。バッタと違って食べる植物はイネ科植物ではなく、クズやカナムグラなどの葉の広い植物で、それらの植物が生えている草丈の高い茂みによく生息しています。他のバッタは卵で越冬しますが、ツチイナゴは成虫で越冬します。

バッタ科

ショウリョウバッタ
トノサマバッタは体長は4cm - 7cmほどの大型のバッタで、体色は緑色系の個体と褐色系の個体とがあります。草原や空き地などでよく見られる代表的なバッタです。ショウリョウバッタの成虫は翅を使ってよく飛び回ります。
クルマバッタ
クルマバッタは体長は4 - 6cmほどのバッタです。トノサマバッタに似ていますが一回り小さいバッタです。後翅の中ほどに黒い帯もようがあり、羽ばたいて飛び立つとこれが車輪のようにみえることからこの和名がつきました。
ショウリョウバッタ
ショウリョウバッタは頭が三角形に前方にとがっているバッタです。ショウリョウバッタのオスは体長5cmほどですが、メスは体長8cmほどもあり、オスとメスでは体の大きさが極端に違うのも特徴です。オスはよく飛び、羽ばたいて飛び立つ際に、翅を打ち合わせて「キチキチキチッ」と鳴きます。ショウリョウバッタのメスはあまり飛ばず、ジャンプ力も強くはありません。オスにはキチキチバッタ、メスにはハタオリバッタの別名があります。この違いを天地霄壤(テンチショウジョウ)に例えたこと、また成虫が旧盆(精霊祭)の時季に姿を見せることが名前の由来になっていわれています。
ショウリョウバッタモドキ
ショウリョウバッタモドキは、体長5cmぐらいで草原にいてショウリョウバッタとイナゴを合わせたような姿をしているバッタです。